■ 事ここに極まれりの感。ポイント・オブ・ノー・リターン。始まってしまうのだろうか。
「いやいや、止めようと思ったんだがね、だめなんだよ。よく歴史の節目と呼ばれる事件があるでしょ、戦争を始める契機になった事件。あれをさ、しらみつぶしに妨害してやったの。ところがね、戦争はそれでも始まっちゃうの。止められないんだよ。人間の嫉妬と憎しみのエネルギーは絶大なもので、そいつで裏打ちされた行動は歴史的契機の不在なんてものともしない。やらないという選択はのっけからないかのごとく、歴史をどういじっても戦争は始まってしまう。・・・なぜかって?たぶん、戦争が人間の本能のひとつだからなんだろうね。戦争があるからこそ人類は発展し、戦争があるからこそここまで人間は地球上にはびこることができた。進化の足りない不完全な人間が戦争をするんじゃないんだよ。戦争が進化のキッカケなんだ。人類の宿命なの。次の段階に行くための階梯。・・・そう解釈するしかないと俺は思ってる」
昨夜、バーで出会った飲んだくれの初老がそう言ってた。「俺、浦島太郎って名前。知ってるだろ?いまはタイムトラベラーをやってる。自分のいる時間を自在に前後できるのよ。例の玉手箱、あれね、二重底になっててさ・・・」
そこから先の話は、あまり憶えてない。
|